映画「クワイエットルームにようこそ」を鑑賞す。
結論はすさまじく面白かった。オススメ。
終始観るものを飽きさせないテンポの良さと繰り出される松尾スズキ独自のユーモアとセンス。
映画としての出来は星5つだ。
しかしながら、あえて苦言を述べるとすれば、ストーリーとしての「クワイエットルームにようこそ」はどうだろうか?
もちろんこの小説が描いているテーマや世界は重い。
精神病院の閉鎖病棟というぬるい地獄、あるいは異常な世界である。
結末、主人公は過去を振り切り、新しい“自分”を手に入れ前向きにエンドロールを迎える。
話としてはきれいだが、俺としては「病み」を癒す過程がすっ飛ばされているように思えた。
要するになぜかとってつけたように急に主人公が前向きになるのだ。
なんだか、そこのいきなりの「すっ飛ばし」がリアリティを欠いているように思えるのだが、どうだろうか。再生する過程を描くことが抜け落ちているのだ。
主人公の明日香は自分の罪悪感に苦しみ精神を病むわけだが、その後どのように自分を肯定していくかが見えないまま、曖昧なまま映画が終わってしまったことが個人的には消化不良だった。
明日香は過去を捨て立ち直るように一応描かれているが、人間は過去をそう簡単に捨て去ることなぞできるのであろうか?
そう簡単にいかないのではないだろうか?
だとしたら、人は罪を犯した、過ちを犯した自分をどう肯定し、存在意義を見出すのか?
明日香の言葉を借りれば、「からっぽ」で「価値のない」主人公がどう自分を肯定していくかが描かれていなかったのは残念だった。
人は自分のことを「からっぽ」で「価値がない」と絶望したときどうやって自分を肯定していけばよいのか?
そう、僕は自分自身の存在への懐疑や問いを映画に投影しながら「クワイエットルームにようこそ」を観ていた。
なぜなら俺もまた主人公と同じく、自分のことを「からっぽ」で「価値のない」存在だと絶えず思っているからだ。
それゆえ、現実の世界ではこんなに都合よく「病み」から回復するわけねーだろと違和感を覚えたのでした。
「病み」つながりでこの映画もぜひオススメしときませう。
追記 ナース山岸を演じていた 平岩紙さんがめっちゃかわいかった。めっちゃ俺の好みである。